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むかし、あるところに年取った王様がいました。王様は思いました。「ああ、毎日毎日退屈じゃのう。楽しいことはないじゃろうか・・・」
「若いころわしは、強い王だった。・・・・今では馬に乗ることも出来ん」
王様はイライラして家来を呼びました。「誰かおらぬか」
王様とは何を表しているのでしょうか。はたまた退屈とは？・・・ |
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「わしは退屈なんじゃ。だれかわしに面白い話を聞かせてくれる者はおらぬか。誰でもよい、一人ずつ来て順に話をせい」
家来「ハハー」
勇ましくて強かった王様も、今では退屈で仕方ありません。自分を居場所とやりがいもなくし、まさに退屈の日々を送っていました。退屈とは、自分の人生の中で良し悪しを決めている天人の世界です。天人は素晴らしい地位にあっても、やがて衰え消え失せていくことを知らずに過ごしている姿です。 |
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家来たちは大弱り。「戦争なら負けないが、どうも話は苦手でな」
「私もそうじゃ」「私も・・・」
「いいお話もあるが、自分の番にとっておく」・・・
若い家来も・・・・
どんな話が本当に王様が望んでいるのか皆目見当がつきません。 |
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王様の望みの話が分からないと悩んでいるところへ、一人の老人が訪ねてきました。「私は国という国をまわり、頭の中には話しきれないほどの面白い話が入っております。どうか、王様にお引き合わせください」と言いました。家来は「ちょうどいいところへ来た」と王様に取り次ぎました。
ここで困っている家来の様子は、お城の中の価値観で動いている姿を表しているのです。そして、老人の意味は・・・ |
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| 王様「わしはそんな得体のしれぬ宿無しの話など聞かなくていい」というと、家来は「いいえ老人は私たちの知らない話を数限りなく知っています。どうかお会いになってみては」という言葉を素直に聞き入れた王様でした。ここで私たちの知らない話を数限りなく知っているということが大事なことではないでしょうか。つまり、私の価値観にないことを知らせてくれる老人なのです。まさに城壁の外側の価値観です。 |
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| 老人「王様、私は不思議な話、悲しい話、面白い話、美しい話、何でもお話申し上げます」王様「それは楽しみじゃ。ところでおまえはどこの生まれじゃ」と王様が尋ねると老人は、「私は天涯孤独でどこの生まれかもわかりません。あちこち歩き回っているうちに大人になりました。でも、いろいろなことに出遇いました」 |
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| 数多くの出会いと感動をお話しつくした老人は、ため息をついて外へ出ていきました。そこで見たものは、美しい自然でした。山や空、やわらかい風が運ぶほんのりと甘い香り、白い花を見ているとそこには潤いと暖かさを感じました。なんと晴れ晴れした気持ちに、王様もご覧になって、花の香りを、大自然に触れてみていただきたいものだと思いました。 |
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| 王様はたくさんのお話を聞きましたが、どんな話も喜ばれませんでした。王様は人の話を聞くことでは喜びを感じることはできません。鳥や花、風や雲からこそ本当に美しい話が聞けるのではないでしょうか。そこには求めずしてすでに私の前に用意されてあった世界が開かれていたのです。いかがでしょうか王様。・・・ |
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| 春風が運んできたものは一体何だったのでしょう。王様という一番偉く自分の思い通りになることが幸せであるという存在が、実は一番自分の考えに縛られていたということです。権力を持つことが、元気であることが、l能力に長けているということが幸せであると思いこんでいたものが、本当の意味の安心する心を失わせていたということに気づいたのでしょう。春風は目に見えないが常に動いている私たちのいのちのいとなみを運んできたのです。 |
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